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漢方ブログ

第39話 「ここの漢方薬で治らなかったら、俺は一生人を信じない」と宣言する副鼻腔炎の高校生

2010.12.27

 永く漢方の治療をしていると、色々の患者さんがくる。その日は、祖母に連れられて一人のがっちりした体つきの男子高校生が相談に来た。祖母は、孫の副鼻腔炎を治してあげたくて、あそこがいいと聞けばそこへ、それはもうあらゆる病院に連れて行ったという。患者である孫も、素直に従って通院していたのだろう。ところが、治ると思って通っていても、そのたびに結果は裏切られ、私のところへ来るなり、「ここの漢方薬で治らなかったら、俺は一生人を信じない。」と宣言することになったのである。事は重大である。この高校生の一生がかかっているのである。のど元にナイフを突きつけられて治療するような、切迫感がある。
 彼の症状を聞くと、脾肺の熱証であり、難しいと思えるものではなかった。対応する漢方薬を処方し投薬した。彼は、それはきちんと服薬し、一回たりとも薬を飲み忘れることはなかった。つまり、これで治らなかったら・・・という鬼気迫るものがあるのである。1ヶ月、2ヶ月と飲むにつれ次第に症状は良くなり、半年後には全快に至った。とにかく、純粋な彼の一生を台無しにすることがなく、良かったと安堵している。

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