漢方ブログ
第79話 不眠症と不安感・湿疹
2012.10.19
相談の来られたのは7月上旬、60代の女性である。今年の6月から頭・首・胸・腰に湿疹ができ、大学病院からステロイド軟膏が処方されたが、つけたところ悪化してしまった。湿疹は温まると痒くなり、ほんのりとした赤みのある丘疹で、ひどく痒いわけではない。半年ほど前に、ご主人が病気をし、その後、ねつきが悪くなり、全く寝た気がせず、夢ばかりみている。先に先に物事を考え、色々なことが気になり、心配でしょうがない。考えると動悸もするという。
湿疹は弱い実熱のもので、不安、動悸、不眠は心陰虚から起こっている。当然、両方を考慮して薬物を配合する必要がある。かゆみは2週間で治り、不安、動悸、不眠は2ヶ月で落ち着いた。
本人が言うには、色々気になっていたことに目を向けなくなったという。睡眠についても、今日は眠れるかしらなどと考えていたことすらしなくなったという。
考えないというのは、まだ意識している範疇で、忘れてしまっているようでなければ、治っているとはいえない。今の睡眠薬や睡眠導入剤は治しているのではなく、力で眠らせているから、いつまでも止められないのは当然であろう。