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「先生至急来て下さい。」

2015.03.18

いつものように日々の患者さんの相談をこなしていた時だった。突然電話がかかってきて、「主治医の先生が不在で、至急萩原先生来てください。○○さんがサチュレーション(酸素に結合したヘモグロビンが何%占めるかを表したもの)が80台で、脈が感じられません。朝から嘔吐が何度かありました。」というのである。この患者は81歳女性、ここ数年寝たきりで会話はできない。
あたりをつけた漢方薬を二種類用意してただちに出発した。嘔吐のためのものと、脈が弱く命がまさにつきようとするときに脈を回復させるためのものである。
現地に着くなり、患者の脈を急いでみてみた。心臓の脈は弱くわかりずらく、腎の脈は弱いものの力はまだある。手は暖かく、顔色は赤みもある。
まず、脈を回復させようと、持参した回陽救脱(かいようきゅうだつと呼び、弱くなった脈を鼓舞する作用がある)の薬を少量のお湯(沢山だと誤飲して肺に入るので少量で練る)で練り、スプーンで口中に入れた。すると、目をつぶっていながら患者はモグモグと口を動かし、きれいに食べてしまった。これはいけると心で思った。
5分ほど経ってから、脈をみると、心臓の脈に力が出てきたので、これで様子をみてもらうことにし、吐き気の薬は少し経ってから飲ませるように伝えた。
翌日には、サチュレーションも回復し、吐き気も止まり、流動食がおさまるようになった。この患者を救ったのはこれで二回目となる。

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